Core i9 13900Kを空冷CPUクーラーでテストする

Intel第13世代CPU「Core i9 13900K」に空冷CPUクーラー(noctua NH-U12A)を使用し、どのMTP設定まで耐えられるのか検証していきます。

「Core i9 13900K」のMTP(最大ターボパワー)は「Core i7 13700K」と同じ253Wです。

注意事項

電圧を手動で変更する行為はオーバークロックと同様にトラブルが発生した場合はCPU、マザーボードの保証対象外となります。
設定変更する際は自己責任でお願いします。
この記事を参考にトラブルがあっても当サイトでは一切責任を負いません。

あくまで参考用としてお使いください。

固定電圧の測定はCinebench R23がギリギリ通る電圧で行っているため、実用的な設定ではありません。

PC構成

CPUIntel Core i9 13900K
CPUクーラーnoctua NH-U12A
マザーボードMPG Z690 FORCE WIFI
MEMORYARK ARD5-U32G88HB-56B-D
電源Seasonic SSR-750TD
SSDSamsung 980 PRO MZ-V8P2T0C/IT
ベンチ台STREACOM BC1
OSWindows11 Pro 22H2
その他logicool MK240
GbLAN接続
DP接続4K(3840×2160)
ワットチェッカー REX-BTWATTCH1

UEFI version:7D30vA91

UEFI設定

Advanced
 Native ASPM -> [Disabled] -> [Enabled]

PCIe PCI ASPM Settings
 PEG 0 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PEG 1 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PEG 2 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PCI Express Root Port 5 ASPM [Disabled] -> [L1]

Power Management Setup
 ErP Ready  [Disabled] -> [Enabled]

Advanced CPU Configuration
 Intel C-State [Auto] -> [Enabled]
 C1E Support [Auto] -> [Enabled]
 Package C State Limit [Auto] -> [C10]

TDP設定
unlimited

メモリ設定
DDR5-5600 CL46-46-46-90@1.1V


■Windows電源設定

電源プラン[バランス]デフォルトからの変更点

PCI Express
 リンク状態の電源管理
  [適切な省電力] -> [最大限の省電力]

ワイヤレスアダプターの変更
 省電力モード
  [最大パフォーマンス] -> [省電力(高)]

室温22.6℃

Autoの計測結果

計測内容13900K13700K
Idle消費電力25.2W24.7W
CBR23 Single
消費電力
96.1W@5.8GHz 1.382V
67℃
85.9W@5.4GHz 1.346V
CBR23 Single
スコア
2247pts2108pts
CBR23 Multi
消費電力
423W@
Pコア 5.2-5.5GHz
Eコア 4.1-4.3GHz
1.300V
100℃
358W@
Pコア 5.1-5.3GHz
Eコア 4.0-4.2GHz
1.32V
CBR23 Multi
スコア
39419pts30032pts
※Cinebench Multiは10分、Singleは1周
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※VcoreはHWinfo読み

Cinebench R23 Singleは1コアの負荷で100W近い消費電力になりました。
ただし5.8GHzと特にOCなしでも圧倒的な高クロックを見ることができます。

Cinebench R23 Multiで消費電力は423W、スパイク値は457Wにもなります。
「Core i9 13900K」は最上位ながらもHEDTではなくコンシューマー向けのCPUです。
第8世代Coreシリーズ以降はコア数を増やしたことにより性能は確実に上がっていますが、特にここ近年の消費電力の増え方は異常なほど増えています。
ただライバルであるAMDに遅れを取らせないための”意地”を感じさせます。

バラック状態ではありますが、空冷でもCinebench R23 Multiのスコアは39000オーバーを叩き出します。
もちろんサーマルスロットリングは早くに発動し、Pコアは時々5.2GHzになりますが、5.3GHzの時間が長くなります。

Voltage Offset計測結果

Voltage Offsetを0.25Vづつ下げて設定しました。

Vcore Offset値消費電力CPU
Vcore
CBR23
Multi スコア
最大温度
-0.025V418W1.278V40016pts101℃
-0.050V407W1.258V40169pts100℃
-0.075Vエラー
※Cinebench R23 3分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

Autoの計測結果と異なりこちらはCinebench R23 3分完走のテストなので、4万オーバーのスコアが記録できたと思います。
筆者の個体はあまり良くないのかマージンが0.05Vしかありませんでした。

Vcore 0.9V / 1.0V / 1.1V / 1.2 固定

CPU Vcoreを固定してPコアとEコアがエラーがでない最大クロックに設定して計測しました。

Pコア
クロック
Eコア
クロック
UEFI
CPU Vcore
HWINFO読み
CPU Vcore
Idle消費電力Cinebench R23
Multi 消費電力
Cinebench R23
Multi スコア
最大温度
4.4GHz3.6GHz0.900V0.904V35.3W167W32641pts59℃
4.8GHz3.9GHz1.000V1.006V37.0W214W34301pts67℃
5.1GHz4.2GHz1.100V1.106V38.2W282W37218pts81℃
5.4GHz4.3GHz1.200V1.206V40.0W367W39037pts98℃
※Cinebench R23 3分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

0.9Vが一番効率が良く、1.2Vと比較してCinebenchスコアは83%ですが電力は45%で200Wの差が出ます。

固定電圧はギリギリを探るためBSoDやフリーズを多く経験するので、心臓に悪いのと実用的な値ではないので今後は測定から除外する予定です。

MTP(TDP)変更

Maxmum Turbo Power(MTP)設定を10W刻みで変更して計測していきます。
Intel Xtreme Tuning Utility(XTU)で設定しました。
XTUにてTurbo Boost Short Power Max Enableを[Disable]に変更したのですが、Applyボタンを押しても[Enable]に戻ってしまいました。
よってTurbo Boost Short Power MaxとTurbo Boost Power Maxを同じ値にしました。

MTP設定Pコア
クロック
Eコア
クロック
HWINFO読み
CPU Vcore
CB R23
消費電力
CB R23
スコア
最大温度電力効率
無制限5.3-5.5GHz4.1-4.3GHz1.344V432W39070pts100℃90.44
253W5.0-5.1GHz3.9-4.0GHz1.218V328W36911pts85℃112.53
245W5.0-5.1GHz3.9-4.0GHz1.180V314W36695pts84℃116.86
235W4.9-5.03.9GHz1.168V306W36303pts83℃118.64
225W4.8-5.0GHz3.8GHz1.154V294W35874pts82℃122.02
215W4.8-4.9GHz3.8GHz1.140V284W35523pts81℃125.08
205W4.7-4.8GHz3.7GHz1.120V274W34940pts80℃127.52
195W4.7-4.8GHz3.7GHz1.110V262W34581pts76℃131.99
185W4.5-4.7GHz3.7GHz1.096V249W34020pts75℃136.63
175W4.5-4.6GHz3.6GHz1.078V241W33501pts72℃139.01
165W4.5GHz3.5GHz1.062V226W32926pts71℃145.69
155W4.4GHz3.4GHz1.046V216W32320pts68℃149.63
145W4.3-4.4GHz3.4GHz1.048V208W31776pts67℃152.77
135W4.1-4.2GHz3.3GHz1.030V196W30880pts64℃157.55
125W4.0-4.1GHz3.3GHz0.986V182W30182pts60℃165.84
115W3.9GHz3.2GHz0.964V169W29107pts59℃172.23
105W3.6-3.7GHz3.1GHz0.942V159W28011pts56℃176.17
95W3.5-3.6GHz3.0GHz0.920V145W26714pts55℃184.23
85W3.3GHz2.9GHz0.896V134W25275pts54℃188.62
75W3.0-3.1GHz2.7GHz0.874V125W23812pts48℃190.50
65W2.8-2.9GHz2.5GHz0.848V112W22009pts46℃196.51
55W2.5-2.6GHz2.2-2.3GHz0.830V98.7W19972pts43℃202.35
45W2.1-2.2GHz2.0GHz0.798V85.8W17318pts41℃201.84
35W1.5-1.8GHz1.7GHz0.786V76.5W13739pts38℃179.59
25W1.1-1.2GHz1.0-1.1GHz0.786V64.9W9333pts37℃143.81
15W0.8GHz0.8GHz0.792V58.5W5641pts34℃96.43
5W0.8GHz0.8GHz0.796V57.0W5315pts33℃93.25
※Cinebench R23 3分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

Cinebench R23 Single

MTP45Wでも5.8GHzを記録し、2208ptsとなりました。
マルチは抑えてもシングル全開で行きたい場合はMTP45W以上設定すればよさそうです。

Cinebench R23 Multi

無制限は効率が悪く使い勝手が良くないです。
排熱のバランスを見てMTP設定を指定したするのが良いでしょう。

一番効率良いのはMTP45~65W付近というのは「Core i5 13600K」「Core i7 13700K」と傾向が変わりません。

MTP253Wの「Core i7 13700K」がCPU温度100℃に対して「Core i9 13900K」は85℃に収まっています。
2つのCPUで消費電力を同じにした場合は、コア数が多い「Core i9 13900K」は「Core i7 13700K」より低クロックかつ低電圧にで動作します。
それとダイサイズが大きいことにより熱源の分散がされたと考えられます。
「Core i5 13600K」と比較しても高MTPでは「Core i9 13900K」の方が温度的に有利となります。

よって空冷運用は高めのMTPでも「Core i5 13600K」や「Core i7 13700K」より温度が低く、運用がし易いです。

低発熱で静音、そこそこのマルチスコアのMTP65Wあたりで贅沢に制限させてしまうのもありですが、MTP125Wや185Wあたりもおすすめです。

雑感

計測してみて「Core i9 13900K」が空冷運用で「Core i5 13600K」「Core i7 13700K」よりも有利なのは意外でした。
単純に空冷環境でMTP無制限設定させると、Raptor LakeのアンロックCPUはどれも100℃になるので、その場合の扱いにくさは変わりません。
「Core i9 13900K」はOCして限界を探るのもロマンがありますが、効率重視や静音派にはMTPを指定すると強みが大きく出るので、そういうチューニングのやり方もありだと思います。

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