Core i7 13700Kを空冷CPUクーラーでテストする

2022年10月20日にAlder Lakeの後継であるRaptor Lakeが発売されました。
Alder LakeからL2キャッシュの増加やCPUクロックの向上等、若干の改良が加えられています。

今回Intel 第13世代CPU「Core i7 13700K」で空冷CPUクーラー(noctua NH-U12A)を使用してCinebench R23で発熱と消費電力を見ていきます。
電圧変更やMTP(TDP)を変更した計測も行っていきます。

ライバルであるAMDのZen4を意識したのかRaptor LakeはAlder Lakeより同じラインのCPUでさらにMTP(Maxmum Turbo Power)値が上昇しています。

Intel Core i7-12700KのMTP(最大ターボパワー)は190W
Intel Core i7-13700KのMTP(最大ターボパワー)は253W

MTPは「Core i7 12700K」が190W、「Core i7 13700K」が253Wと上昇しておりAlder Lakeの最上位CPUである「Core i9 12900K」の241 Wをオーバーしています。
「Core i7 13700K」と「Core i9 12900K」はPコアとEコアが同一ですが、「Core i7 13700K」の方が最大クロックが高いのでその分MTPが高いということでしょう。

「Core i9 12900K」は簡易水冷必須レベルのCPUなので当然「Core i7 13700K」も同様となりますが、空冷CPUクーラーでテストするとどうなるか検証していきます。

※ゲーム関連のベンチマークはありません。

注意事項

電圧を手動で変更する行為はオーバークロックと同様にトラブルが発生した場合はCPU、マザーボードの保証対象外となります。
設定変更する際は自己責任でお願いします。
この記事を参考にトラブルがあっても当サイトでは一切責任を負いません。

あくまで参考用としてお使いください。

固定電圧の測定はCinebench R23がギリギリ通る電圧で行っているため、実用的な設定ではありません。

PC構成

CPUIntel Core i7 13700K
CPUクーラーnoctua NH-U12A
マザーボードMPG Z690 FORCE WIFI
MEMORYASUS DDR5UDIMM32GBKIT
電源Seasonic SSR-750TD
SSDWD Black SN700 WDS500G2X0C
ベンチ台STREACOM BC1
OSWindows11 Pro 22H2
その他TK-FDM109
GbLAN接続
DP接続4K(3840×2160)
ワットチェッカー REX-BTWATTCH1

UEFI version:7D30vA91

UEFI設定

Advanced
 Native ASPM -> [Disabled] -> [Enabled]

PCIe PCI ASPM Settings
 PEG 0 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PEG 1 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PEG 2 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PCI Express Root Port 5 ASPM [Disabled] -> [L1]

Power Management Setup
 ErP Ready  [Disabled] -> [Enabled]


Advanced CPU Configuration
 Intel C-State [Auto] -> [Enabled]
 C1E Support [Auto] -> [Enabled]
 Package C State Limit [Auto] -> [C10]

メモリ設定
DDR5-5600 CL46-46-46-90@1.1V

■Windows電源設定

電源プラン[バランス]デフォルトからの変更点

PCI Express
 リンク状態の電源管理
  [適切な省電力] -> [最大限の省電力]

ワイヤレスアダプターの変更
 省電力モード
  [最大パフォーマンス] -> [省電力(高)]

メモリはRaptor Lakeの対応クロックであるDDR5-5600に、
Team ELITEのJEDEC準拠DDR5-5600メモリのCL値を参考に値を設定しました。

検証環境

Autoの計測結果

計測内容消費電力スコア
Idle24.7W
Cinebench R23 Single85.9W@5.4GHz 1.346V2108pts
Cinebench R23 Multi358W@
Pコア 5.1-5.3GHz
Eコア 4.0-4.2GHz
1.32V
30032pts
※Cinebench Multiは10分、Singleは1周です
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※VcoreはHWinfo読み

GIGABYTE Z690 UD(DDR5)とCore i7 13700KではIdleが17.7Wなので、MPG Z690 FORCE WIFIの消費電力が高めです。
CPU自体はIdle時はかなり低い消費電力で抑えられています。

Cinebench R23 Single

消費電力が85.9Wとかなり高いですが、公称スペック通り5.4GHzは出せます。
CPU温度は60℃まで上がっているのでこれもかなり上がっていますが、空冷でも問題ありません。

Cinebench R23 Multi

アイドルから+320Wぐらいで、MTPの253Wよりさらに高いです。
「Core i5 12600K」が165Wだったことを考慮すると消費電力が倍以上になっています。
ただスコアは3万を超え、「Core i5 12600K」比で1.73倍となっています。

Cinebench10分完走のCPU最高温度は100℃でした。
消費電力・発熱共に高く空冷のdefault設定ではかなり扱いにくいCPUです。
HWiNFOで見るとコアによって温度の差があります。
このCPUはP-core7が一番高くP-core1が低いので、それぞれのコアクロックをマニュアルで設定する時の参考にできます。

HWiNFOのCPU温度

良い点としてはサーマルスロットリングは起きていますが、それでも全コア5GHz以上をキープしていて、5GHz未満になることはありませんでした。
空冷でも簡単に全コア5GHzオーバーが見られるという意味では進化していると思います。

Voltage Offset計測結果

Voltage Offsetを0.25Vづつ下げて設定しました。

Offset設定
Vcore Offset値消費電力CPU
Vcore
CBR23
Multi スコア
最大温度
-0.025V354W1.306V30352pts100℃
-0.050V334W1.284V30571pts100℃
-0.075V321W1.264V30799pts100℃
-0.100V311W1.236V30850pts97℃
-0.125V303W1.214V30839pts94℃
-0.150Vエラー1.192Vエラー
※Cinebench R23 10分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

はじめはIntel XTUを使用しましたが-0.15VにするとVcoreが1.242Vと下がっていない状態になったので、UEFIで設定して計測し直しています。

Offsetで-0.125Vまで下げることができました。
実用的な設定ではありませんが、default設定から消費電力が50W程度下がっています。
-0.10Vでは最大CPU温度が97℃となり、サーマルスロットリングは発生しませんでした。

defaultからのCPU電圧のマージンとしてはCinebench R23で-0.125Vと多くも少なくもないといった印象です。
prime95やOCCTで負荷をかければ-0.125VでもPASSできない可能性はあります。

今回計測したOffsetモードは一律上げ下げをするモードを使用しましたが、VF Pointにした方がより柔軟な設定ができます。

OffsetモードはVF Pointというモードを使用すると特定のクロック毎に細く設定できます

Pコア設定変更/Eコア3.4GHz固定

Eコアはdefaultの42倍だとVcore1.0Vに耐えられないため、「Core i5 12600K」の計測と同じ3.4GHz固定としました。
電圧はUEFIで、クロックはIntel Xtreme Tuning Utility(XTU)で設定しました。

電圧固定はUEFIで CPU Core Voltage Modeを[Override Mode]にCPU Core Voltageを任意の電圧に設定しました
Pコア
クロック
Eコア
クロック
UEFI
CPU Vcore
HWINFO読み
CPU Vcore
Idle
消費電力
CBR23
消費電力
CBR23
スコア
最大温度
4.7GHz3.4GHz1.000V1.006V36.4W176W26403pts63℃
4.8GHz3.4GHz1.025V1.032V37.1W190W26818pts66℃
4.9GHz3.4GHz1.075V1.082V38.0W213W27340pts71℃
5.0GHz3.4GHz1.100V1.106V37.5W219W27656pts74℃
5.1GHz3.4GHz1.125V1.132V38.7W234W28217pts78℃
5.2GHz3.4GHz1.175V1.180V39.3W262W28620pts85℃
5.3GHz3.4GHz1.225V1.232V38.8W292W28970pts96℃
5.4GHz3.4GHz1.275V1.276V39.3W322W28861pts100℃
※Cinebench R23 10分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

Cinebench R23 Multi 10分テストはVcore 1.0VでPコア4.7GHzが通ります。
Core i5 12600KではPコア4.7GHzは1.1V必要でした。
Core i9 13900Kであればさらに低い電圧で4.7GHzを達成できるかもしれません。

全コア5.4GHzはNH-U12Aでは排熱しきれずサーマルスロットリングが発生しました。
それによって全コア5.3GHzよりスコアが下がるという状況になりました。
全コア5.4GHz以上はより冷却性能が高い簡易水冷などのCPUクーラーが必要になります。

5.1GHz以上から0.1GHz刻みでVcoreが0.5V昇圧する必要があり、それに応じて消費電力の上昇値も上がります。
温度も80℃を超えるのでファンの回転音がかなり煩く感じます。

Pコア5.3GHz設定

Pコア4.7GHz固定/Eコア設定変更

Pコア4.7GHz / Vcore 1.0VからEコアのクロックを変更して計測しました。

Pコア
クロック
Eコア
クロック
UEFI
CPU Vcore
HWINFO読み
CPU Vcore
Idle
消費電力
CBR23
消費電力
CBR23
スコア
最大温度
4.7GHz3.5GHz1.000V1.006V36.4W180W26723pts67℃
4.7GHz3.6GHz1.000V1.006V36.9W182W26949pts67℃
4.7GHz3.7GHz1.000V1.006V36.4W183W27125pts67℃
4.7GHz3.8GHz1.000V1.006V36.3W180W27335pts66℃
4.7GHz3.9GHz1.025V1.030V36.5W181W27505pts69℃
4.7GHz4.0GHz1.050V1.056V36.6W192W27758pts72℃
4.7GHz4.1GHz1.100V1.106V37.8W219W27979pts78℃
4.7GHz4.2GHz1.150V1.156V37.8W242W28175pts84℃
4.7GHz4.3GHz1.200V1.206V38.8W277W28362pts88℃
4.7GHz4.4GHz1.275V1.282V41.1W319W28519pts98℃
※Cinebench R23 10分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

電圧が同じであればEコアクロックを変更しても消費電力に変化がないのは「Core i5 12600K」と同じ傾向です。
また「Core i5 12600K」ではEコア4.0GHzは1.2V必要になっていましたが、「Core i7 13700K」は1.05Vとかなり要求電圧が低くなっています。

「Core i7 13700K」のEコア公称値最大のクロックは4.2GHzでしたが、4.4GHzまでオーバークロックできます。
これ以上はこの構成ではサーマルスロットリングが起きそうですが、最大温度についてEコアのクロックを上げていってもPコア4.7GHzのPコアの方が高くなります。

Alder LakeのCore i5とRaptor LakeのCore i7はPコアもEコアも同クロックではRaptor Lakeの方が低い電圧で動作しています。(※同ランク帯のCPUでないので純粋な前世代との比較にはなりませんが)

Eコア4.4GHz設定

Vcore 1.0V / 1.1V / 1.2 固定

CPU Vcoreを固定してPコアとEコアがエラーがでない最大クロックに設定して計測しました。

Pコア
クロック
Eコア
クロック
UEFI
CPU Vcore
HWINFO読み
CPU Vcore
Idle消費電力Cinebench R23
Multi 消費電力
Cinebench R23
Multi スコア
最大温度
4.7GHz3.8GHz1.000V1.006V36.3W180W27335pts66℃
5.0GHz4.1GHz1.100V1.106V37.3W238W29244pts80℃
5.2GHz4.3GHz1.200V1.206V39.0W298W30472pts95℃
※Cinebench R23 10分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

1.0Vと1.2Vを比較すると約120W使って性能は10%程度の差となっています。
温度も約30℃差がついていて、1.0V設定はファンが全開にならず静音性の点でも有効です。
KシリーズのCPUを使用してダウンクロックするのはもったいないですが、低電圧の効率の良さを見ると下げたくもなります。

MTP(TDP)変更

Maxmum Turbo Power(MTP)設定を10W刻みで変更して計測していきます。
Intel Xtreme Tuning Utility(XTU)で設定しました。
XTUにてTurbo Boost Short Power Max Enableを[Disable]に変更したのですが、Applyボタンを押しても[Enable]に戻ってしまいました。
よってTurbo Boost Short Power MaxとTurbo Boost Power Maxを同じ値にしました。

XTUのMTP 65W設定
MTP設定Pコア
クロック
Eコア
クロック
HWINFO読み
CPU Vcore
CB R23
消費電力
CB R23
スコア
最大温度電力効率
無制限5.1-5.3GHz4.0-4.2GHz1.320V358W30032pts100℃83.89
253W5.1-5.2GHz4.0-4.1GHz1.282V326W29108pts100℃89.29
245W5.0-5.2GHz3.9-4.1GHz1.260V318W29314pts100℃92.18
235W5.0-5.2GHz3.9-4.1GHz1.254V311W29130pts100℃93.67
225W5.0-5.1GHz3.9GHz1.238V295W28892pts98℃97.94
215W5.0-5.1GHz3.8-3.9GHz1.220V285W28623pts94℃100.43
205W4.9-5.0GHz3.8GHz1.208V271W28321pts91℃104.51
195W4.9-5.0GHz3.8GHz1.188V260W28034pts88℃107.82
185W4.8-4.9GHz3.7-3.8GHz1.168V248W27654pts84℃111.51
175W4.7-4.8GHz3.7-3.8GHz1.156V239W27201pts82℃113.81
165W4.6-4.7GHz3.6GHz1.138V227W26839pts80℃118.23
155W4.5-4.6GHz3.5-3.6GHz1.118V214W26358pts78℃123.17
145W4.5-4.6GHz3.5GHz1.092V204W25951pts76℃127.21
135W4.4-4.5GHz3.4-3.5GHz1.074V192W25528pts72℃132.96
125W4.3GHz3.4GHz1.052V176W24991pts68℃141.99
115W4.2-4.3GHz3.3GHz1.024V173W24377pts68℃140.91
105W4.0-4.1GHz3.2GHz1.006V162W23611pts68℃145.75
95W3.8-3.9GHz3.1-3.2GHz0.978V141W22659pts61℃160.70
85W3.6-3.8GHz3.0-3.1GHz0.948V135W21660pts56℃160.44
75W3.5-3.6GHz2.9GHz0.918V122W20584pts51℃168.72
65W3.2-3.3Ghz2.7GHz0.888V115W19108pts51℃166.16
55W2.9-3.0GHz2.5GHz0.860V101W17427pts50℃172.54
45W2.5-2.6GHz2.2-2.3GHz0.826V89.3W15367pts46℃172.08
35W2.2-2.3GHz2.0-2.1GHz0.800V75.1W12867pts44℃171.33
25W1.6-1.7GHz1.5GHz0.752V69.9W9731pts43℃139.21
15W0.8-0.9GHz0.8-0.9GHz0.752V54.8W5577pts41℃101.77
5W0.8GHz0.8GHz0.748V52.6W4080pts41℃77.57
※Cinebench R23 10分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

Cinebench R23 Single

Cinebench R23 SingleではMTPをいくら上げても5.4GHzを常に安定して出るパターンがなかったので、5.3GHzにターゲットを置くとTDP35Wまでは安定して5.3GHzになりました。5.4GHzもたまに記録します。
ただしこの時の最大消費電力が84.5Wを記録しており、Cinebench R23 Multiより消費電力が高く出ました。
またスコアが2006ptsとUEFI default設定より100ポイントほど低く、2100pts出すにはより高いMTP設定が必要になります。

Cinebench R23 Multi

MTPはUEFI defaultと同じ253Wに設定してもUEFI defaultよりスコアが低く出ています。
UEFIの設定次第なので他のマザーボードやUEFIバージョンの違いでも結果は異なると思います。

電力効率が一番良いのがMTP35W~95Wあたりですが、性能が無制限から-25%ぐらいになります。
バランスが良いのがMTP125Wあたりで無制限からの性能は-17%、消費電力は-50%ぐらいです。
「Core i7 13700K」はPBPが125Wなので、本来Intelはdefaultでこのあたりの設定で出したかったのかと疑ってしまいます。

空冷運用は夏の室温が上がるような状況でMTP125Wあたり、クーラーで室温を下げる前提ならMTP195Wあたりが狙い目です。
エアフローの良さやファンの騒音、温度など見てMTP設定を変えていくといいです。

Eコアoff / HT off の計測

UEFIでEコアをoff、Hyper-Threadingをoffにした場合の計測を行いました。

Pコア数Eコア数Cinebench R23
Multi 消費電力
Cinebench R23
Multi スコア
8コア8コア358W30032pts
8コア0コア290W21984pts
8コア
(HT off)
0コア240W16149pts
※Cinebench R23 10分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

P-8コア_E-0コア(HT on)ではサーマルスロットリングは起きましたが、HT offにすると最大温度は89℃となりスロットリングしませんでした。

どちらもHT onでP-8コアとEコアon/offの比較でCinebench R23のスコアは8048ptsの差があります。
Eコアの8コアは「Core i7 13700K」全体の25%程度の性能を補っています。

Core i5 12600Kと同じコア数とクロックで計測する

Pコアを6コア4.5GHzに、Eコアを4コア3.4GHzに設定して計測しました。
コア数変更だけして電圧はAutoのままです。

CPU消費電力Cinebench R23
Multi スコア
Core i5 12600K165W17339pts
Core i7 13700K
(P6/E4)
152W17685pts
※Cinebench R23 10分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

同コア/クロックではCinebenchのスコアはほぼ変わらずIPCは上がってない印象です。
最大温度は66℃で余裕で冷やせます。

雑感

default設定の空冷運用

「Core i7 13700K」はポン付けで空冷ではサーマルスロットリング覚悟で運用すべきCPUです。
熱処理がしきれません。
noctua NH-U12Aは最高峰ではありませんがハイエンドなラインの空冷CPUクーラーですが、それでもCinebench R23 Multiが2周目ではサーマルスロットリングが発生する結果でした。

12世代の最高峰CPU「Core i9 12900KS」をCore i7で超えるというのは利点ですが、根本的な設計が変更されているわけでもなく、プロセスルールも同じなので消費電力も12世代のCore i9と13世代のCore i7は近しい値になるという図式が成り立ちます。

CPU負荷100%が長く続く状況では空冷で最大のパフォーマンスを維持するのは諦めましょう。

空冷運用するには

・全コア負荷をかける場面がどれぐらいあるか
・CPU100%時の消費電力が高いのは許容範囲か
・CPU温度100℃ある中でケース内の排熱が間に合うか
・ファンの騒音は許容範囲内か
・マザーボードのVRM温度がやばい温度になっていないか

等々使用する用途・状況によっては何かしら不満があるならMTPを絞るという方法を選択した方がいいです。
しかしCPU100%状態が長く続く状況はゲームでもあまりないので、実はdefault設定でもあまり気にする必要がないというのが多数だと思います。

他のレビューを見ると「Core i5 13600K」だとdefault設定でも空冷で運用できそうな発熱なので、価格もリーズナブルなそちらを選択した方が良いかもしれないです。
※「Core i5 13600K」で計測してみました

Alder LakeとRaptor Lakeのコアについて

Alder Lake「Core i5 12600K」とRaptor Lake「Core i7 13700K」の比較をすると同じクロックであればRaptor Lakeの方が低電圧にできます。
最大クロックでは「Core i7 13700K」でもシングル5.4GHz、全コア5.3GHzと5GHzを軽く超えることができるのでAlder Lakeからの改良の効果はあります。

「Core i7 13700K」を使ってみて分かったこと

CPUを購入した後はCinebenchを回してスコアを見るのがルーティーンになっていますが、今までCPUの最高値はRyzen 9 5950Xを使用したときの274Wでした。初回Cinebenchを回した時に最上位でないCore i7でいきなり300Wオーバーしたときはかなり驚きました。
それと同時にこの発熱と消費電力に耐えられる最近のマザーボードの凄さを実感しました。
ベンチマーク中に電源フェーズを覆っているヒートシンクは触れないほどの熱さでしたが、フェーズ数が少なくなればこれ以上となるとマザーボード負荷が厳しくなってきそうです。
最近のマザーボードはミドルレンジクラスでもVRMフェーズ数ありすぎだと思いましたが、「Core i7 13700K」を使用してみて少し考えが変わりました。

MSI MPG Z690 FORCE WIFIのVRMフェーズ数は18+1+1フェーズ 75A SPS

Alder Lake発売時に上位CPUは発熱がやばそうというイメージから「Core i5 12600K」を選択しましたが、「Core i7 13700K」を使ってみてその時の判断は正解だったかもしれません。
ただこれは”最大”での場合で、通常使用している時はその最大になる時間がどれぐらいあるかで評価が分かれるCPUになるかと思います。

しかし一番強く思ったことはやはり消費電力の最大値上がりすぎです。
第14世代のMeteor Lakeは改善して欲しい箇所です。

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