Core i5 13600Kを空冷CPUクーラーでテストする

「Core i7 13700K」で検証したi5版です。
Intel 第13世代CPU「Core i5 13600K」で空冷CPUクーラー(noctua NH-U12A)を使用してCinebench R23で発熱と消費電力を見ていきます。
電圧変更やMTP(TDP)を変更した計測も行っていきます。

「Core i5 13600K」は「Core i7 13700K」と比較してCPUクロックが若干低くPコアは2個少ないです。
MTP(Maxmum Turbo Power)も181Wと控え目になっているので、空冷でも排熱が追いつく可能性があります。

Intel Core i5-13600KのMTP(最大ターボパワー)は181W
Intel Core i7-13700KのMTP(最大ターボパワー)は253W

注意事項

電圧を手動で変更する行為はオーバークロックと同様にトラブルが発生した場合はCPU、マザーボードの保証対象外となります。
設定変更する際は自己責任でお願いします。
この記事を参考にトラブルがあっても当サイトでは一切責任を負いません。

あくまで参考用としてお使いください。

固定電圧の測定はCinebench R23がギリギリ通る電圧で行っているため、実用的な設定ではありません。

PC構成

CPUIntel Core i7 13600K
CPUクーラーnoctua NH-U12A
マザーボードMPG Z690 FORCE WIFI
MEMORYARK ARD5-U32G88HB-56B-D
電源Seasonic SSR-750TD
SSDSamsung 980 PRO MZ-V8P2T0C/IT
ベンチ台STREACOM BC1
OSWindows11 Pro 22H2
その他logicool MK240
GbLAN接続
DP接続4K(3840×2160)
ワットチェッカー REX-BTWATTCH1

UEFI version:7D30vA91

UEFI設定

Advanced
 Native ASPM -> [Disabled] -> [Enabled]

PCIe PCI ASPM Settings
 PEG 0 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PEG 1 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PEG 2 ASPM [Disabled] -> [L0sL1]
 PCI Express Root Port 5 ASPM [Disabled] -> [L1]

Power Management Setup
 ErP Ready  [Disabled] -> [Enabled]

Advanced CPU Configuration
 Intel C-State [Auto] -> [Enabled]
 C1E Support [Auto] -> [Enabled]
 Package C State Limit [Auto] -> [C10]

TDP設定
unlimited

メモリ設定
DDR5-5600 CL46-46-46-90@1.1V


■Windows電源設定

電源プラン[バランス]デフォルトからの変更点

PCI Express
 リンク状態の電源管理
  [適切な省電力] -> [最大限の省電力]

ワイヤレスアダプターの変更
 省電力モード
  [最大パフォーマンス] -> [省電力(高)]

室温22.8℃

Autoの計測結果

Autoの計測ではAlder Lakeの「Core i5 12600K」を参考に記載しています。
PC構成(主にマザーボード)が異なるので参考値として記載します。

計測内容13600K12600K
Idle消費電力25.6W
CBR23 Single
消費電力
74.3W@5.1GHz 1.280V68.1W@4.9GHz 1.26V
CBR23 Single
スコア
1986pts1902pts
CBR23 Multi
消費電力
291W@1.358V
Pコア 4.9-5.1GHz
Eコア 3.8-3.9GHz
165W@1.14V
Pコア 4.5GHz
Eコア 3.4GHz
CBR23 Multi
スコア
23560pts17339pts
※Cinebench Multiは10分、Singleは1周です
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※VcoreはHWinfo読み

Cinebench R23 SingleはCore i5でもスコア2000ptsに迫ります。
少しOCしたら2000ptsは超えそうです。
Core i5 12600Kと比較すると0.2GHz上昇しただけ消費電力も微増しています。

Cinebench R23 Multiはシステム全体で300Wに迫る勢いです。
10年前、いや5年前に2022年はCore i5がハイエンド空冷でサーマルスロットリングを起こし、250Wぐらいの電力を消費すると言ったらそんなことあるかと笑われていたでしょう。
それが現実となりNH-U12AでもCPU温度が100℃に到達しました。
消費電力はAlder LakeのCore i5 12600Kから約2倍になっており、スコアは約1.36倍です。
どう見ても電力効率は悪化しています。

Voltage Offset計測結果

Voltage Offsetを0.25Vづつ下げて設定しました。

Vcore Offset値消費電力CPU
Vcore
CBR23
Multi スコア
最大温度
-0.025V300W1.336V23694pts101℃
-0.050V293W1.316V23798pts101℃
-0.075V282W1.292V23903pts101℃
-0.100V267W1.272V23912pts98℃
-0.125V251W1.240V23924pts92℃
-0.150V237W1.210V23998pts88℃
-0.175Vエラー
※Cinebench R23 3分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

-0.175VはCinebench中に強制OS再起動になりましたが、-0.15VまでCinebenchが通りました。

offset-0.050Vまではoffsetをしない設定より消費電力が高くなったので、複数回計測しましたが同じ結果でした。

Vcore固定設定

CPU Vcoreを固定してPコアとEコアがエラーがでない最大クロックに設定して計測しました。

Pコア
クロック
Eコア
クロック
UEFI
CPU Vcore
HWINFO読み
CPU Vcore
Idle消費電力Cinebench R23
Multi 消費電力
Cinebench R23
Multi スコア
最大温度
4.8GHz3.9GHz1.000V1.006V36.8W159W23299pts67℃
4.9GHz4.0GHz1.025V1.032V34.9W169W23564pts69℃
5.1GHz4.1GHz1.050V1.056V37.1W180W24431pts73℃
5.1GHz4.2GHz1.075V1.100V35.9W191W24638pts76℃
5.2GHz4.2GHz1.100V1.106V36.6W202W24916pts78℃
5.3GHz4.2GHz1.125V1.132V38.7W213W25203pts83℃
5.3GHz4.3GHz1.150V1.158V38.1W226W25412pts85℃
5.3GHz4.3GHz1.175V1.182V38.9W235W25441pts88℃
5.4GHz4.3GHz1.200V1.204V39.3W249W25720pts91℃
5.4GHz4.4GHz1.225V1.232V39.2W259W25867pts96℃
※5.6GHz4.5GHz1.300V1.308V47.5W312W26805pts96℃
※Cinebench R23 3分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

※5.6GHzは簡易水冷LS520で室温15.3℃の環境で行っています。

コア電圧を0.025V上げる毎に消費電力が約10Wの上昇しています。

「Core i5 12600K」は1.1VでPコア4.5GHz/Eコア3.7GHzだったのが「Core i5 13600K」は1.1VでPコア5.2GHz/Eコア4.2GHzと同じ電圧ではクロックがかなり上昇しておりRaptor Lakeの強さが出ています。

MTP(TDP)変更

Maxmum Turbo Power(MTP)設定を10W刻みで変更して計測していきます。
Intel Xtreme Tuning Utility(XTU)で設定しました。
Turbo Boost Short Power MaxとTurbo Boost Power Maxを同じ値にしています。

MTP設定Pコア
クロック
Eコア
クロック
HWINFO読み
CPU Vcore
CB R23
消費電力
CB R23
スコア
最大温度電力効率
無制限4.9-5.1GHz3.8-3.9GHz1.358V291W23560pts100℃80.96
185W4.8-4.9GHz3.7-3.8GHz1.264V255W22860pts95℃89.65
181W4.8-4.9GHz3.7-3.8GHz1.252V251W22798pts92℃90.83
175W4.8-4.9GHz3.7-3.8GHz1.234V243W22652pts91℃93.22
165W4.7-4.8GHz3.7GHz1.220V230W22292pts87℃96.92
155W4.6-4.7GHz3.6GHz1.196V219W22043pts85℃100.65
145W4.5-4.6GHz3.5-3.6GHz1.178V210W21666pts81℃103.17
135W4.5-4.6GHz3.5GHz1.156V198W21330pts78℃107.73
125W4.4-4.5GHz3.4GHz1.130V185W20920pts75℃113.08
115W4.3-4.4GHz3.3-3.4GHz1.104V174W20432pts72℃117.43
105W4.3GHz3.3GHz1.074V162W20080pts72℃123.95
95W4.1-4.2GHz3.2GHz1.048V151W19411pts65℃128.55
85W3.9-4.0GHz3.1GHz1.014V139W18694pts62℃134.49
75W3.7-3.8GHz3.0GHz0.978V124W17722pts58℃142.92
65W3.5GHz2.9GHz0.944V114W16764pts55℃147.05
55W3.2GHz2.6GHz0.906V102W15414pts53℃151.12
45W2.8-2.9GHz2.3GHz0.878V91.1W13943pts49℃153.05
35W2.5-2.6GHz2.1GHz0.824V77.8W12807pts45℃164.61
25W1.9-2.0GHz1.6GHz0.770V65.2W9290pts43℃142.48
15W1.0-1.3GHz0.8-0.9GHz0.740V52.6W5437pts41℃103.37
5W0.8GHz0.8GHz0.736V47.6W3188pts38℃66.97
※Cinebench R23 3分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

Cinebench R23 Multiの計測では無制限で100℃ですが、MTPを181Wに設定すると90℃を超えますがサーマルスロットリングが起きませんでした。

電力効率が一番良いのがMTP35W~85Wあたりで、これは「Core i7 13700K」と傾向は同じです。

Core i5 12600Kと同じコア数とクロックで計測する

「Core i5 13600K」のEコアの固定最低クロック設定は3.5GHzだったので計測のクロックの差があります。

「Core i5 12600K」のEコア=3.4GHz
「Core i5 13600K」のEコア=3.5GHz

CPU消費電力Cinebench R23
Multi スコア
Core i5 12600K165W17339pts
Core i5 13600K
(P6/E4)
167W17369pts
※Cinebench R23 10分完走が条件
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※CBR23 = Cinebench R23 Multi

「Core i5 12600K」と「Core i5 13600K」はコア数とクロックを合わせると消費電力Cinebenchスコアほぼ同じになりました。

雑感

「Core i5 13600K」はハイエンド空冷とエアフローを考慮し上手く排熱させてあげると、公式仕様の最大ターボパワーであるMTP181Wはサーマルスロットリングを起こさず運用することができそうです(室温があまりにも高い場合は不可能だと思われます)。
「Core i7 13700K」はMTP253Wであるため、その設定での空冷運用は絶望的だった時とは異なる結果となりました。

Raptor Lakeの「Core i5 13600K」はAlder Lakeの「Core i5 12600K」から性能も上がっていますが、消費電力は性能比以上に上がっています。
これはCPUクロックを上げたことにより電圧も上がったのとEコアも4コア増えたことによる影響があります。
ただ両者同じCPUクロック・コア数を合わせればUEFI Autoで消費電力はほぼ同じになり、自分で調整を行う場合は「Core i5 13600K」は「Core i5 12600K」より少ない電圧で高クロックを狙えるため、世代が1つ上であることの面目は保っています。
価格差が小さい場合は「Core i5 13600K」を選択して自分に合った調整した方が良いですが、調整が面倒というのであれば「Core i5 12600K」は有効な選択肢になります。
ただアンロックモデルを購入して調整なしであればより安価なnon-Kモデルでもいいということになり、LGA1700ソケットのIntel CPUはミドルレンジあたりの選択が12世代を選ぶのか13世代にするのかも含めかなり迷う場面が多くなりそうです。

「Core i5 13600K」だけに注視するとデフォルト設定ではクロックを無理して発熱・消費電力が多くなる傾向にはうんざりしているというのが正直な感想です。
スイートスポットの電力効率は世代を重ねる毎に良くなってきているので調整すればいいだけなのですが、多くのユーザーはデフォルト設定で使うことが多いと思うので、それに伴う廃熱処理やマザーボードを含めた電源周りにコストが嵩むのはPC全体で見てもデメリットでしかないです。

コメント

  1. ヒロ より:

    Vcore固定の場合、シングル性能はどうなるでしょうか。
    最大クロックも制限されてしまいますか?

    • tak より:

      今回のVcore固定測定はCPUクロックが全コア固定なので、そのままシングルで負荷をかけてもCPUクロックの上限は変わりません。

      これとは別にZ690UD+13900Kで試してみましたが、Vcore固定・CPUクロックAutoの場合はクロックはCPUデフォルトの設定が適用されるようです。
      この場合はCPUクロックに対して電圧が不足しているとシステムが落ちます。
      Vcore固定でもクロック設定をPer Coreにすれば1コアx50、2コアx47という設定は可能です。

タイトルとURLをコピーしました