Zen4 CPUのRyzen 9 7950Xでクロックと電圧を固定して効率を算出してみます。
冷却は空冷で行いました。
PC構成
CPU | AMD Ryzen 9 7950X |
CPUクーラー | noctua NH-U12A |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X670E-PLUS |
MEMORY | ASUS DDR5UDIMM32GBKIT |
電源 | CORSAIR AX850 |
SSD | Crucial P5 CT500P5SSD8JP |
ベンチ台 | STREACOM BC1 |
OS | Windows11 Pro 22H2 |
その他 | logicool MK240 GbLAN接続 DP接続4K(3840×2160) ワットチェッカー REX-BTWATTCH1 |
UEFI version:0809
■UEFI設定
Power Management Setup
ErP Ready [Disabled] -> [Enabled]
メモリ設定
DDR5-5600 CL46-46-46-90@1.1V
■Windows電源設定
電源プラン[バランス]デフォルトからの変更点
PCI Express
リンク状態の電源管理
[適切な省電力] -> [最大限の省電力]
メモリの定格はDDR5-5200でしたが、Raptor Lakeの計測時と同じ設定に合わせました。
CPU Autoの計測
計測内容 | 消費電力 | スコア |
Idle | 46.1W | – |
Cinebench R23 Single | 96.0W 5.5-5.7GHz 66.3℃ 1.425V | 2049pts |
Cinebench R23 Multi | ※302W 4.9-5.1GHz 1.154V | 37472pts |
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※VcoreはHWinfo読み
※Cinebench R23 Multiで311W/323W/356Wをそれぞれ1回だけ記録
Idle
Idleが46.1WでローエンドGPUを搭載したZen3構成よりも高いです。
メモリクロックをAutoのDDR5-4800にすれば40.5Wまで落ちますが、それでも高すぎます。
X670チップセットが2個になっているせいか分かりませんが、Intelのアイドルには遠く及びません。
B650マザーボードも試してみたいですが、現時点の最安でも3万を超えるというありえない高さで手を出しにくい状況です。
Cinebench R23 Single
CPUクロックは5.7GHzまで上がりますが、5.5GHzを表示することが多かったです。
最高温度が66℃、消費電力が100W弱となり、CPU電圧を1.425Vまで上げてかなり頑張ってクロックを稼ぎに来ています。
Cinebench R23 Multi
Cinebench R23 Multiは消費電力が跳ね上がるタイミングが数回ありました。
Raptor Lake他Intelの構成でもこのような現象があり、そこは省いた計測結果にしていますが、跳ね上がる値が50Wぐらいでかなり大きいです。
それを省くと302Wが一番高く、大体は297W付近となりました。
空冷CPUのnoctua NH-U12Aでも37472ptsを記録し、Ryzen 9 5950Xから大幅にスコアを伸ばしています。
クロックが大きく伸びたことから消費電力も上がっていますが、性能も順調に上がっています。
クロック/電圧固定
CPU クロック | UEFI CPU Vcore | HWINFO読み CPU Vcore | Idle 消費電力 | CBR23 消費電力 | CBR23 スコア | 最大温度 | 効率 |
4.2GHz | 0.875V | 0.820V | 51.3W | 138W | 31417pts | 53℃ | 227.66 |
4.3GHz | 0.900V | 0.841V | 50.8W | 144W | 32162pts | 54℃ | 223.35 |
4.4GHz | 0.925V | 0.865V | 51.7W | 151W | 32932pts | 57℃ | 218.10 |
4.5GHz | 0.950V | 0.885V | 51.7W | 159W | 33676pts | 60℃ | 211.80 |
4.6GHz | 0.975V | 0.912V | 52.1W | 168W | 34453pts | 63℃ | 205.08 |
4.7GHz | 1.000V | 0.930V | 52.1W | 177W | 35131pts | 61℃ | 198.48 |
4.8GHz | 1.025V | 0.950V | 53.0W | 184W | 35982pts | 65℃ | 195.55 |
4.9GHz | 1.075V | 0.995V | 53.5W | 203W | 36714pts | 71℃ | 180.86 |
5.0GHz | 1.125V | 1.036V | 55.7W | 226W | 37420pts | 78℃ | 165.58 |
5.1GHz | 1.175V | 1.076V | 57.1W | 250W | 38105pts | 82℃ | 152.42 |
5.2GHz | 1.250V | 1.140V | 59.3W | 302W | 38932pts | 96℃ | 128.91 |
※消費電力はIdleは最低値、ベンチマーク時は極端に高い数値が稀に見られる場合はそれを除外した最大値
※効率 = Cinebench R23 Multiの消費電力 / Cinebench R23 Multiのスコア
※効率はシステム全体の消費電力から割り出しています
※CPUのクロック変更(OC/DC)、電圧変更は自己責任となります
0.850VではPOSTする時としない時があり、その場合はTUF GAMING X670E-PLUSのデバッグランプでVGAが点灯していました。
0.875Vから計測しています。
電圧固定にしてもアイドル時から負荷を上げるとHWINFO読みでCPU Vcoreの電圧が下がります。
5.2GHzでは95℃リミットにかかっていますが、Cinebenchのスコアは順調に伸びていました。
スイートスポットはどの電圧&クロックか
基本的にクロックが低いほど効率は良く、今回計測した4.2GHz@0.875Vが一番高効率となりました。
電圧下げでWindows起動できればもっと低いクロックがさらに高効率の可能性がありますが、4.2GHzでもCinebenchは余裕で30000超えていて、Zen4世代の強さを感じます。
4.9GHz以上で0.5Vづつの昇圧が必要になり、5.2GHzでは0.1GHz上げるのに0.75Vの昇圧が必要になりました。
4.8GHzまでのラインが消費電力と性能のバランスが良いです。
常用設定を考える
Ryzen 9 5950Xの時もCinebench R23テストからVcoreを0.1Vマージン取り、特に問題がなかったのでRyzen 9 7950Xで常用するとしたら4.7GHz@1.1Vに設定しPrime95やOCCTテストする予定でした。
しかしシングルスレッドが1691pts/78Wを記録したのでdefaultから消費電力の大きなメリットはなく、大幅にスコアダウンするのでEcoモードや別の設定を詰める方法も考えてます。
4.7GHz@1.1VのCinebench R23 Multiは202Wでした。
こちらは202Wで35000ptsオーバーを出せれば上出来なスコアです。
シングルスレッドに目を瞑るならこれでもいいかもしれません。
雑感
Ryzen 7000シリーズは最大温度95℃までぶん回す設定が基本なので、空冷クーラーのNH-U12Aでは軽くその上限値に引っかかることは予想できましたが、それでもCinebench R23は37000ptsを上回りかなり良いスコアが出ました。
消費電力も先にCore i7 13700Kを見ていたのでそれほど驚きませんでした。
しかしIntelもAMDもクロックを上げるだけ上げて無理してる傾向には残念な展開です。
競争原理から両社の争いはコンシュマー最上位CPUの性能は僅差となっており面白い争いをしていますが、電力上限が上がっているせいでマザーボードのフェーズ数、8層基盤などコストが高めになる傾向になっています。
ふと冷静に考えるとこれは「コンシューマー」なのか疑問を感じます。
製品のラインナップからコンシューマーでいいはずなのですが、HEDTにかなり首を突っ込んだものである感じがします。
今後この傾向が続くのか動向が気になります。
ただRyzen 9 7950Xは前世代のRyzen 9 5950Xから確実に進化を感じ取れるCPUになっています。
問題は価格なのですが、CPUはドルベースで見るとAMDが発表したRyzen 9 5950Xの初値より安くなっています。
しかしマザーボードが円安を考えても高くなっていて手を出しづらい状況です。
繰り返しになりますがRyzen 9 7950Xや他のZen4 CPUはZen3から進化を遂げています。その恩恵を多くの人が受けられるようAMDには厳しいかもしれませんが、Zen4のPCシステムがより手が届きやすいように進めてほしいです。
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