Ryzen7000シリーズ対応のチップセットB650とX670(E)の消費電力差

Socket AM5はチップセットはB650,B650E,X670,X670Eがあります。
末尾Eはグラフィックカード用に使用するスロットがPCI Express5.0になっているかの違いです。
またX670はB650をデイジーチェーンで繋いだものとなっており、必然的にチップが1つ多くなります。

今回はASUSのB650マザーボード「TUF GAMING B650-PLUS WIFI」X670Eマザーボード「TUF GAMING X670E-PLUS」で比較します。

PC構成

CPUAMD Ryzen 9 7950X
M/BASUS TUF GAMING B650-PLUS WIFI
ASUS TUF GAMING X670E-PLUS
MEMORYASUS DDR5UDIMM32GBKIT
電源Corsair AX850 80 PLUS Titanium
SSDSamsung 980 PRO MZ-V8P2T0C/IT
OSWindows10 Pro 22H2
その他logicool MK240
GbLAN接続
DP接続4K(3840×2160)
ワットチェッカー REX-BTWATTCH1

【UEFI Version】
TUF GAMING B650-PLUS WIFI BIOS 0823
TUF GAMING X670E-PLUS 0821

【室温】22.7℃

はじめに:TUF GAMING X670E-PLUSの怪

「TUF GAMING X670E-PLUS」は一部の計測結果はカッコ付きの内容が追加されています。
これはビデオカードを追加した段階で、何故かCPU単体よりアイドルの消費電力が下がったためです。
その後ビデオカードを外して再計測を行ったところCPU単体時でも消費電力が1回目より下がったため、下段のカッコ付きを1回目、上段の結果を2回目に記載しています。
Cinebench R23の負荷時については1回目と2回目にほぼ違いが見られなかったため、1回目の計測結果を載せています。

消費電力が下がった原因はおそらくCPU単体時にRADEONのグラフィックドライバー入れていなかったせいかと思われます。
Windowsが自動で適用するドライバーではなく、対応のCPUの型番でAMDの公式サイトからドライバーを入れる必要があります。

消費電力・ベンチマーク

アイドルの計測結果

UEFIデフォルトはメモリクロックが4800MHz CL40-39-39-77でした。

UEFI設定TUF B650TUF X670E
UEFI default33.1W42.8W
(51.4W)
↑ ERP Ready [Disabled] -> [Enabled]33.1W42.7W
(52.6W)
↑ Global C-state Control [Auto] -> [Enabled]
※1
33.1W42.9W
(51.5W)

続いて電源設定を変更します。

Windows電源設定TUF B650TUF X670E
※1の状態
電源プラン[バランス]デフォルト
33.1W42.9W
(51.5W)
↑ワイヤレスアダプターの設定
 省電力モード
 [最大のパフォーマンス] -> [省電力(高)]
32.9W42.5W
(51.6W)
↑PCI Express
 リンク状態の電源管理
 [適切な省電力] -> [最大限の省電力]
※2
25.4W32.8W
(45.7W)

続いてメモリクロックを変更しました。

UEFI設定TUF B650TUF X670E
※2の状態
DDR5-4800MHz CL40-39-39-77@1.1V
25.4W32.8W
(45.7W)
手動
DDR5-5200MHz CL42-42-42-84@1.1V
※3
29.1W36.4W
(51.4W)
手動
DDR5-6000MHz CL36-36-36-76@1.25V
34.0W41.7W
(55.1W)

アイドルは「TUF GAMING B650-PLUS WIFI」の方が7~10W低いです。
「TUF GAMING X670E-PLUS」の方がチップが1つ多いためその分の影響が出ています。

Intel Z690ではアイドル10W前半出せるマザーボードもあります。
AMDでもB550とAPUの組み合わせで10W台は出せるので、Socket AM5のAPUが出ればB650で10W台は出せる可能性はあります。

Cinebenchの計測結果

※3の状態で計測しました。

計測内容TUF B650TUF X670E
Cinebench R23 Single74.1-109W
平均:79.7W
82.4-102W
平均:88.9W
Cinebench R23 Singleスコア2049pts2048pts
Cinebench R23 Multi267-318W
平均:276W
270-309W
平均:280W
Cinebench R23 Multiスコア37221pts37179pts
CBR23 Multi(PPT 125W)176-185W
平均:180W
167-182W
平均:171W
CBR23Multi(PPT 125W)スコア33825pts33816pts
※Cinebench R23 3分

B650 スパイク値の300Wを超えるのは4回計測されました(計測単位1秒毎)。
一方X670Eは1回でした。

全コア負荷になるとほぼ同じ消費電力・スコアとなり、アイドルでの10W差がなくなりました。

ビデオカード追加

SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX 6700 XT OCを追加しました。
CPU側の設定でPPT無制限と125Wで比較しています。

計測内容TUF B650TUF X670E
Idle32.8W42.7W
3DMark TimeSpy(PPT無制限)ピーク:410W
平均:379W
ピーク:450W
平均:404W
3DMark TimeSpy(PPT無制限)スコア1330813360
3DMark TimeSpy(PPT 125W)ピーク:410W
平均:379W
ピーク:420W
平均:398W
3DMark TimeSpy(PPT 125W)スコア1320813281
※Cinebench R23 3分

B650の3DMark TimeSpyはPPT125Wと無制限(正確にはPPT1000W)は消費電力、スコアもほぼ同じになりました。
疑わしかったのでCinebench R23 Multiを走らせてみましたが明らかなクロックの違いは生じていたので、偶然の結果です。

3DMark TimeSpyでは「TUF GAMING X670E-PLUS」の方が消費電力が多めに出ました。
PPT無制限では平均でも25W差がついていることがあります。

選ぶとしたらどちらか

価格差はありますが、この2つならどちらを選ぶか考えてみます。

TUF GAMING B650-PLUS WIFI

安いに越したことはないので「TUF GAMING B650-PLUS WIFI」は価格としては魅力的です。
しかしバックパネルのUSB3.2 Type-Aが2つしかありません。
USB 3.2 Type-Cも2つありますが、Type-Aをどれだけ使うかで不足する可能性は出てきます。
USB 2.0 Type-Aもあるので速度を求めない場合はこちらで補えます。

下:TUF GAMING B650-PLUS WIFI
上:TUF GAMING X670E-PLUS

PCI Expressは1スロット目をグラフィックカード用のx16スロットとすると、4スロット目にx4(スロットはx16)があります。
ただし最近のグラフィックカードはGeForce RTX 4070Tiで3スロット、RTX 4080やRTX4090では4スロットレベルのカードがあるので、その場合は4スロット目も使えなくなります。
そうなると残りは6スロット目にあるx1スロットしか残りません。

左:TUF GAMING B650-PLUS WIFI
右:TUF GAMING X670E-PLUS

B650マザーボードでは「TUF GAMING B650-PLUS WIFI」のようなPCI Expressスロットの構成は多いのですが、”GAMING”と名が付くはグラフィックカードを搭載するのが前提なので、ハイエンド寄りのグラフィックカードを搭載した場合は拡張スロットの乏しさに不満があります。(B650なら組み合わせはミドルレンジレベルを想定してるなら4スロット目も使えるよというならそれまでですが)
できれば5か6スロット目にx4(スロットはx16)を実装して欲しいです。

m.2スロットは3スロット、SATAは4ポートあるのでストレージの拡張性は良いです。

全体と通して見るとUSBとPCI Expressスロットはかゆいところに手が届かないという印象です。
色々と拡張カードやUSBに接続するものが多くなると足りなくなる場合があるかもということがありそうです。

TUF GAMING X670E-PLUS

「TUF GAMING X670E-PLUS」はチップセット1つ分多いのでB650より消費電力は高めに出る傾向があります。

その一方USBコネクタの数やPCI Expressスロットに不満が出ることは少なく、m.2スロットも4スロットあるので、拡張性として困ることはなさそうです。

個人的に「TUF GAMING B650-PLUS WIFI」と「TUF GAMING X670E-PLUS」の2つでどちらかを選ぶという選択肢であれば「TUF GAMING X670E-PLUS」を選びます。
消費電力が多少高くも拡張性にもしかしたら足りなくなるかもという状況は作りたくないです。
内蔵型のゲームキャプチャーは4K対応になってくるとPCI Express x4が必要になったりしますので、一番下の6スロット目のPCI形状は注視したい箇所です。
よって価格差はあっても「TUF GAMING X670E-PLUS」を選択したいです。

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コメント

  1. トリプティク より:

    今回のB650ボードとX670Eボードで
    CPUやメモリなど
    OC関連で設定出来る項目は
    変わってくるものですか?
    VFカーブがB650ボードは使えない
    とかないといいなーと思いました。

    ほぼ同じ感じなのです?

    • tak より:

      現在はどちらも手放してしまって不明なのですが、モデル毎に設定があるかどうかだけになります。
      B650でもVFカーブ設定できるマザーはあるので、欲しいマザーボードがあればメーカーに問い合わせれば確実な回答が得られると思います。

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