2022年1月に発表してから半年、待ちわびていたDeskMini B660が発売となりました。
価格が¥32,780と他のDeskMiniシリーズの登場時からかなり高い値付けとなっています。
筐体とACアダプター
DeskMini B660の筐体はDeskMini X300と全く同じ155 x 155 x 80 mm (1.92L)の大きさです。
上部も同じデザインのDeskMiniシリーズから変化なし。
背面はUSB/LAN/ディスプレイ出力/DC入力
ACアダプターもDeskMiniシリーズおなじみのAcBel 19.0V/6.32A 120W電源です。
消費電力/ベンチマーク
PC構成
ベアボーン | ASRock Deskmini B660 |
CPU | Intel Core i5-12500 |
Cooler | Noctua NH-L9i-17xx |
MEMORY | CFD W4N3200CM-16GR (DDR4-3200 16GB x 2) |
SSD | SANDISK Extreme PRO SDSSDXPM2-500G-J25 |
OS | Windows11 Pro 21H2 |
その他 | エレコム TK-FDM109 GbLAN接続 DP 4K接続(3840×2160) ワットチェッカー REX-BTWATTCH1 |
メモリはUEFI default設定で3200MHzになっていました。
UEFI Verは5.01で計測しています。
【UEFI defaultからの変更点】
Enhanced Halt State(C1E) : Auto -> Enabled
CPU C6 State Support : Auto -> Enabled
CPU C7 State Support : Auto -> Enabled
Package C State Support : Disabled -> Enabled
PCI Express Native Control : Disabled -> Enabled
PCIE ASPM Support : Disabled -> L0sL1
PCH PCIE ASPM Support : Disabled -> L1
DMI ASPM Support : Disabled -> Enabled
PCH DMI ASPM Support : Disabled -> Enabled
SATA Aggressive Link Power Support : Disabled -> Enabled
各種スコア
ベンチ項目 | 消費電力 | ファン回転数 | CPU温度 | スコア |
Idle | 11.6W | 705rpm | 36.5℃ | – |
Cinebench R23 Single | 53.7W | 1954rpm | 61.0℃ | 1666pts |
Cinebench R23 Multi | 121W | 2739rpm | 77.0℃ | 11109pts |
ドラゴンクエストX FHD最高設定 | 60.3W | 1880rpm | 60.0℃ | 5792 (すごく快適) |
FF14 FHD デスクトップPC 最高設定 ウィンドウ | 68.5W | 1714rpm | 58.0℃ | 2361 (普通) |
UEFI defaultではIdle 23.1Wだったので、Idle消費電力を下げるには前項のUEFI設定変更が必要になります。
Idle
DeskMini X300と比較するとX300は8.0W、DeskMini B660は11.6Wを4W弱の差があります。
ATXのZ690+Titanium電源でも14W切ることはできるので、もう少し消費電力を抑えられてもいいんじゃないかという印象です。
UEFI Ver 7.01では12W切りを見ることができなかったので、ASRockの調整次第でもっと低い値になるかもしれません。
Cinebench Single
Core i5の特徴になってしまいますが、1コア高負荷でIdle+40Wとかなり電気食いです。
薄型のCPUクーラーではファンの回転数も上がり、CPU温度も高く極小の筐体での排熱の難しさが出てきています。
Cinebench Multi
ACアダプター出力の120Wまで電力を消費しています。
UEFIの制御で120Wとなっているので、サーマルスロットリングの表示は出てなくてもスコアは11109ptsと控えめとなっています。(電力制限されていないスコアは12700pts付近)
Noctua NH-L9i-17xxで辛うじて排熱できますが、ACアダプターの出力ギリギリなので精神衛生上良くない気がしてきます。
UEFIでもっと低い値に制御できるので、パフォーマンスを取るかアダプター出力のマージンを取るかは選択することができます。
ドラゴンクエストX / FF14 ベンチ
DeskMini X300 + AMD APU構成と比較するとパフォーマンスが出ていません。
軽量級のゲームも遊びたいというのであればDeskMini X300を選択した方が良いです。
雑感
今回購入にあたり、DeskMini B660は省スペース/省エネマシンとしてメインPCにする予定です。Idle消費電力がX300より多めですが、極小筐体ということで置き場所がかなり自由に設置できるのが魅力です。
コイル鳴き
Deskmini伝統のACアダプターのコイル鳴きがあります。UEFI画面で強く感じられました。
ただ稼働中は気になる場面がないので、シビアになる必要はないです。
発熱問題
一つ気になっているのがマザーボード裏面に搭載するm.2 SSDスロットです。
放熱を期待してシリコンパッドを貼りましたが、それでも無負荷の温度が47℃付近になります。
CrystalDiskMark中は1GB/5回ずつの計測でもすぐに60℃付近まで上がっていたので、大きなファイルを読み書きするときは温度が心配です。
マザーボード裏面のSSDスロットは温度の管理が悩ましいです。
現状では筆者の環境では高負荷な作業は別のATXマシンに任せる予定なので致命的な問題ではありませんが、DeskMiniをメインマシンにする場合はCPU、ストレージともに発熱の大きい部品は最高のパフォーマンスが出せない場面が出てくることを考慮する必要があります。
DeskMiniシリーズの比較
DeskMini X300とは異なりDeskMini B660はWindowsのS3(スタンバイ)に対応しています。
またUSBの数も多いです。
しかしDeskmini H470と比較するとDeskMini B660はUSB3.0の数が4ポート→2ポート、その代わりにUSB2.0が2ポートとなっています。
チップセットがHからBに変更になった影響でしょうか。
ただしUSB Type-Cの転送速度はDeskMini B660の方が高速です。
Alder Lake CPU対応のDeskMini
AlderLakeのCPUはパフォーマンスが高いですが、それに伴って消費電力も増大しています。
Core i5以上のCPUではACアダプターの最大容量に達してしまうので最大クロックを維持することは難しくなります。
クロックを落としてもコア数が多いのでマルチスレッドでのスコアはCore i3より高くなりますが、限られた電源容量を多いコアで低クロックで回すか、少ないコアで高クロックで回すか運用の選択をする必要があります。
今までのDeskMiniシリーズから大きく変更になった点はなく、Alder LakeのCPUが載せられるという利点があるだけです。
限られた電源容量と容積を考慮しつつCPUを選択する必要がありますが、そこを考えるのが楽しくもあります。
既にUEFIバージョンが7.01で「Support next Generation Intel Processors」とあるので、Raptor Lakeにもほぼ確実に対応してくるはずです。
Alder LakeもPコアが8コアのCore i7以上であればEコアを積んでいますが、Raptor Lakeはnon-KのCore i5でもEコアが搭載されるとの噂があります。
そうなると「限られた電源容量」での運用方法もより複雑になり、そういった意味ではCPUの選択肢が悩ましいDeskMini B660はかなり”遊べる”ベアボーンと言えるかもしれません。
コメント