MSI PRO A620M-Eの消費電力

Socket AM5のローエンドチップセットA620でさらに最廉価帯の「PRO A620M-E」の消費電力を計測します。

消費電力・ベンチマーク

PC構成

CPUAMD Ryzen 9 7950X
Coolernoctua NH-U12A
M/BMSI PRO A620M-E
MEMORYARK ARD5-U32G88HB-56B-D
電源SUPER FLOWER SF-1000F14HT
SSDcrucial P5 Plus CT2000P5PSSD8JP
OSWindows11 Pro 23H2
その他logicool MK240
GbLAN接続
HDMI接続4K@60Hz(3840×2160)
ワットチェッカー REX-BTWATTCH1
検証環境

バックパネルはUSB Type-Cはがなく、USB Type-Aも合計6ポートと控え目。
映像出力端子は2つありますが、そのうちの1つがD-subで最近の液晶ディスプレイでは搭載していない方が多いです。

UEFIバージョン:7E28v16

アイドルの計測結果

UEFIデフォルトは「Ryzen 9 7950X」定格の5200MHz CL42-42-42-84になっていました。

UEFI設定消費電力
UEFI default33.2W
↑ ERP Ready [Disabled] -> [Enabled]33.3W
↑ Global C-state Control [Auto] -> [Enabled]
※1
33.2W
Power Suppy Idle Control [Auto] -> [Low Current Idle]
33.4W

UEFIの設定値変更では特に変わらず、誤差の範囲内です。

続いてWindowsの電源設定を変更します。

Windows電源設定消費電力
※1の状態
電源プラン[バランス]デフォルト
33.2W
↑PCI Express
 リンク状態の電源管理
 [適切な省電力] -> [最大限の省電力]
22.1W
※2

PCI Expressのリンク状態の電源管理を変更すると大幅に下がりました。

ロースペックの構成で期待される「MSI PRO A620M-E」のアイドル消費電力は、同じメーカーであるMSIの「MSI PRO B650M-A WIFI」より3Wほど低い結果が出ています。

最小構成でIdleが22.1WはSocket AM5マザーボードを計測してきて一番低い消費電力です。

参考:TUF GAMING B650-PLUS WIFIGIGABYTE B650I AORUS ULTRA
MSI PRO X670-P WIFIMSI PRO B650M-A WIFI

Cinebenchの計測結果

※2の状態で計測しました。

「Ryzen 9 7950X」のCinebench R23 Multiスコアは通常36000pts超えますが、「MSI PRO A620M-E」で計測すると30000pts付近になっています。
「MSI PRO A620M-E」のdefault設定ではPPT95Wあたりの設定ですが、HWiNFOではMOSFET温度が100℃になっているのでここらへんでリミットが発生していると思われます。

過去の計測時にRyzen Masterで設定されていたTDC:160A / EDC:225A / PPT:230WをUEFIにて手動設定しましたが、Cinebench R23 MultiではMOSFET温度が100℃を超えてくるのですぐに停止しました。

計測内容消費電力スコア
Cinebench R23 Single91.3W2044pts
Cinebench R23 Multi141W29884pts
Cinebench R23 Single・・・1周
Cinebench R23 Multi・・・10分
Cinebench R23 Multi 10分完走した後のHWiNFO(UEFI default設定)

雑感

「MSI PRO A620M-E」はTDP95Wあたりの稼働でもMOSFETが100℃になるので、「Ryzen 9 7950X」の性能を引き出すことはできません。
TDP65Wの設定だとCinebench10分完走でもMOSFETが68℃だったので、安全に運用するにはこのあたりの設定が望ましいです。

USBはType-Cがなく、映像出力もHDMIとD-subとなっています。
PS/2ポートがあることから古めのシステムに合わせたインターフェース構成になっています。
用途として思い浮かぶのはTDP65WのCPUを搭載してオフィス用やネット・動画鑑賞用PC等ですが、グラフィックカードを搭載せずにデュアルディスプレイにしたい場合は、D-subの液晶ディスプレイを実装した液晶ディスプレイを用意する必要があります。

よって安いからといって、使用用途をしっかり把握した上で購入しないと後悔することになるので購入の際は注意してください。

※追記 Ryzen 7 8700Gとの組み合わせ

CPUを「Ryzen 7 8700G」に換装して計測しました。
その際UEFIのバージョンは「7E28v1D」にアップデートしました。
PC構成はCPUが「Ryzen 7 8700G」になった以外は構成、UEFI/Windowsの設定は「Ryzen 9 7950X」と同じです。

Idle:12.6W
Cinebench R23 Single(1周):69.9W / 1688pts
Cinebench R23 Multi(3分):130W / 17959pts

Idleは10W前半を記録しました。
CinebenchはMultiでも性能を出し切れているようで、MOSFET温度も80.5℃です。
ただしバラック組みでの温度なので、TDP(PPT)制限をかけないパターンだと「PRO A620M-E」では高負荷はギリギリな感じです。
やはりTDP65Wクラスで使用するのが無難です。

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