AMD RDNA 3世代のミドルレンジ(ミドルハイ)GPU「Radeon RX 7800 XT」を搭載したグラフィックボードの消費電力を計測します。

外観
「SAPPHIRE AMD Radeon RX 7800 XT GAMING(以下RX7800XT)」と「SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX 6700 XT OC(以下RX6700XT)」との比較ではRX6700XTの方が体積が大きい一方、重量はRX7800XTの方が重いです。

消費電力・ベンチマーク
PC構成
CPU | Intel Core i7 13700K |
CPUクーラー | noctua NH-U12A |
マザーボード | MPG Z690 FORCE WIFI |
VGA | SAPPHIRE AMD Radeon RX 7800 XT GAMING 16GB GDDR6 |
MEMORY | ARK ARD5-U32G88HB-56B-D |
電源 | SUPER FLOWER SF-1000F14HT |
SSD | Samsung 980 PRO MZ-V8P2T0C/IT |
ベンチ台 | STREACOM BC1 |
OS | Windows11 Pro 22H2 |
その他 | logicool MK240 GbLAN接続 DP接続4K(3840×2160) ワットチェッカー REX-BTWATTCH1 |
UEFI Version:7D30vA91
GPU Driver Version:23.12.1
■UEFI設定
Power Management Setup
ErP Ready [Disabled] -> [Enabled]
メモリ設定
DDR5-5600 CL46-46-46-90@1.1V
■Windows電源設定
電源プラン[バランス]デフォルトからの変更点
PCI Express
リンク状態の電源管理
[適切な省電力] -> [最大限の省電力]
アイドルの計測結果
3840×2160のディスプレイリフレッシュレート毎に計測しました。
UEFI設定 | 消費電力 |
GPU取り付け前 | (60Hz)27.1W (120Hz)27.7W (144Hz)27.9W |
RX7800XT取り付け後 | (60Hz)33.3W (120Hz)34.4W (144Hz)34.6W |
※参考値 RX6700XT取り付け後 | (60Hz)31.4W (120Hz)32.2W (144Hz)32.2W |
RX7800XT取り付け前後は約6Wの差です。
アイドルに関してはかなり良好な結果となりました。
RX6700XTはアイドルでは更に優秀です。
以降は特に記載がない場合、4K@144Hzで計測しています。
負荷時の計測結果
RX7800XTの負荷時の計測です。
計測内容 | 平均消費電力 | 最大消費電力 | スコア |
3DMark Time Spy | 344W | 364W | 19032 |
3DMark Time Spy Extreme | 315W | 361W | 9096 |
3DMark Port Royal | 298W | 315W | 10222 |
3DMark Fire Strike Extreme | 327W | 407W | 23692 |
3DMark Fire Strike Ultra | 307W | 365W | 12353 |
FFXV 2560 x 1440 高品質 フルスクリーン | 402W | 461W | 12417 非常に快適 |
FFXV 3840 x 2160 高品質 フルスクリーン | 407W | 456W | 7046 快適 |
※参考値 RX6700XT 3DMark Time Spy
平均消費電力:322W
最大消費電力:353W
スコア:13882
参考値のRX6700XTは「SAPPHIRE NITRO+ Radeon RX 6700 XT OC」のOCモデルなので消費電力は他のRX6700XTよりも高めに出ると思います。
RX7800XTはRX6700XTから3DMark Time Spyはスコアは約1.37倍になっています。
世代の違い以外にもRXx800番代とRXx700番代で同クラスのGPUではないで、もう少し差がつくと思っていました。
Power Limitの変更
電力制限で変更できる範囲は-10%~+15%までと幅が小さいです。
1440pをターゲットとして3DMark Time Spyで計測しました。

計測内容 | 平均消費電力 | 最大消費電力 | スコア | 効率 |
-10% | 316W | 369W | 18345 | 58.05 |
0(default) | 344W | 364W | 19071 | 55.44 |
+15% | 385W | 407W | 19872 | 51.62 |
それぞれ3回計測して記載の結果とほぼ差がなかったので効果はあります。
消費電力とスコアの差は小さいのですが、バーをスライドするだけで手軽にできる点は良いです。
-10%設定で3DMark Time Spyの電力効率は上がっています。
逆にOC状態の+15%設定は効率が落ちます。
AMD純正ツールにて最大周波数と電圧を変更して計測する
3DMark Time Spy
AMD Software: Adrenalin Editionで電圧/GPUクロックをスライドバーで設定し、3DMark Time Spyを計測しました。
電圧は61~100%、周波数は21~202%の間で設定できます。
電圧/GPUクロックはRX6700XTの時と同じ設定にしています。
最大 周波数 | 電圧 | 平均 消費電力 | 最大 消費電力 | スコア | グラフィック スコア | 効率 |
100% | 100% | 344W | 364W | 19032 | 18879 | 55.33 |
90% | 95% | 320W | 362W | 18800 | 18672 | 58.75 |
80% | 90% | 285W | 339W | 17289 | 17214 | 60.66 |
70% | 85% | 264W | 364W | 15916 | 15382 | 60.29 |
60% | 80% | 240W | 366W | 13034 | 12290 | 54.31 |
50% | 75% | 203W | 354W | 11970 | 11180 | 58.97 |
40% | 70% | 184W | 364W | 10192 | 9383 | 55.39 |
電圧とGPUクロック手動で設定するので電圧下げ幅は控えめかもしれませんが、比較的安全であろう設定値で行っています。
最大消費電力がほぼ同じになりましたが、平均消費電力は確実に下がっています。
前途の通り、手動設定で控えめな電圧調整なので電力効率については設定変更してもあまり変わりありません。
Cyberpunk2077
解像度:WQHD
ゲーム設定:高(レイトレーシング:オフ)から以下の設定を変更
解像度スケーリング(FSR):オフ
Power Limit | 平均消費電力 | 最大消費電力 | 平均fps | 効率 |
100% | 406W | 449W | 104.73fps | 0.2580 |
90% | 367W | 393W | 101.87fps | 0.2776 |
80% | 340W | 378W | 94.15fps | 0.2769 |
70% | 320W | 350W | 84.93fps | 0.2654 |
60% | 296W | 332W | 74.73fps | 0.2525 |
50% | 279W | 292W | 63.60fps | 0.2280 |
40% | 262W | 275W | 52.53fps | 0.2005 |

効率面では3DMark Time Spyと似た傾向です。
雑感
WQHDでもそこそこ運用できる力は持っているものの、電力周りの設定の幅が少なく、PowerLimitの下げ方向が-10%しかないのは残念です。
Afterburnerも使用できますが、Adrenalin Editionと同様に90%(-10%)までとなります。
Adrenalin Editionでは細く設定できますが、電圧とGPUクロックの設定値はそれぞれ手動で決める必要があります。
アンダーボルトはオーバクロックと同様に、設定は気をつけないとグラフィックカードそのものを破壊する可能性があります。
それに対してGeForce(PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming)のPowerLimitは30%(-70%)も設定でき、電圧とGPUクロックは自動で行ってくれます。
大体デフォルトである100%設定は電力効率面ではあまり良いことがなく、今回もPowerLimitを-10%下げた場合は電力効率が良くなっていたので、Radeonは自動で調整してくれるPowerLimitの幅をもっと広げてほしいです。
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